6/18に発売された『冒険家エリオットの千年物語』をクリアしたのでその感想をネタバレを控えつつ書く。
最初に言うと、体験版をプレイして期待したものが製品版にもあったのでとても楽しめた。
アクションRPGのRPGはJRPG
はじめにこのゲームのジャンルについて書いておきたい。本作のジャンルは公式で「アクションRPG」になっている。ただし、このRPGの意味は一般的な意味での「レベルを上げステータスを振りキャラクターをビルドする」WRPGではなく、「キャラクター・ストーリーを重視する」JRPGと考えたほうが違和感がない。
装備として武器やアクセサリもあるし武器には特殊能力を与える魔石をセットできるという武器装備の点ではRPGらしさはあるが、プレイヤーキャラクターである主人公エリオットについては体力の強化があるだけでそれ以上の強化要素がなく自分自身のキャラクターを作り込むといった遊び方は出来ない。また、主人公のキャラクター・人格は確立されていてプレイヤーの選択によってそれが変化するということもない。こうした特徴があるからだ。
そのため以下のレビューはアクションとJRPGという観点から書く。
アクション:気持ちの良い戦闘(難易度ノーマル)

とにかく戦闘が気持ちよかった。
まず音がよい。攻撃ヒット時の弾けるような音、敵を倒したときの軽い破裂音、敵の落とした宝石(ゼルダでいうルピー)を回収したときのチャリチャリ音、どれも聞いていて楽しくなってくる。
そして難易度が丁度良い。ノーマルだと道中の雑魚敵は通常攻撃1,2発で少し強い敵でも必殺技・溜め攻撃1,2発で沈むのでどんどんチェイン・連続撃破を繋げられる一方で被弾などでダメージを受けるとチェインが途切れてしまうため、立ち回りに慎重さも求められるというバランスの取り方がよかった。個々の戦闘が簡単でもチェインという仕組みで一連の戦闘に緊張感を持てる。
あとは何といってもジャストガード・パリィの決まりやすさと決めた時のリターンが大きくて気持ち良い。おそらくだがこのゲームのパリィの受付時間は標準でかなり長めで、しかもパリィできる攻撃の直前では敵が赤く発光するため見てからパリィを決めることが容易になっている。そしてパリィを決めたときのリターンが近接攻撃なら相手を気絶、遠距離なら反射すると破格の性能をしている。出しやすい・強い・音が気持ちいい、でとにかく敵の攻撃はパリィしまくるのが癖になるぐらい気持ち良かった。
JRPG:希望の物語

キャッチコピーが「希望はいつもそこにある。」である通りこのゲームは希望をテーマにしている。特にキャラクターの世界観(世界をどう見るかという意味)にはそれが強く表れており、時空を超え・タイムトラベルをし過去で人助けをするエリオットたちは自分が過去・歴史に与える行動が未来にとって良くない出来事に繋がるかもしれないという不安は一切抱かない。そして物語自体でも過去に行った良いことは未来でも良いこととして表れる。
これは時間移動モノの世界観としてピュアすぎるし、物語としても単純すぎるとも言えるかもしれない。ただ、映画『バタフライ・エフェクト』など歴史の改変がバタフライ効果として裏目に出るような悲劇的な話ばかりが時間SFとして記憶に残っている私にとってはむしろ響いた。というかぶっちゃけ、現実世界で不条理なことが起きまくっている分、ゲーム内世界では因果応報(公正世界仮説)的に物事が動いてくれた方が心地良いのだ。だから、個人的にこれは気にならなかったし、むしろ良かった。そしてそれを代表するようなキャラクターが相棒として一緒に冒険してくれるのが良い。
そのキャラクターが妖精のフェイである。ちょうど体験版の後から姫様と交代で相棒になるフェイはずっとポジティブで未来は良いものである・希望は常にあると信じて疑っていないそういう明るさを持っている。このフェイの明るさのおかげで物語の中でつらいこと・避けられない出来事があってもまあどうにかなるっしょという気持ちでいられた。プレイヤーである私が最後までこの物語に希望を持ち続けられて、ゲームとしてクリアできたのも偏に相棒のフェイのおかげであると言っても過言ではない。
その他書いておきたいところ
猫まみれ

このゲームはかなり猫要素が多く猫まみれな内容になっている。公式サイトで見かけるキャラクターは萌芽の時代にリュドミラという猫人間が出ているぐらいだが、実際にはもっとすごい。直接的にストーリーに言及しない範囲だと、猫好きの旅人が猫と戯れたいからと主人公エリオットに猫の保護をお願いし保護を進めていくと王国が猫まみれになる。しかもただ王国に集めるだけではなくて猫それぞれと餌や遊び道具で交流でき仲良くなると家に住みついてくれるようになる。
このゲームにタグを付けるなら「猫」と付けざるを得ないぐらい猫好きの気持ちが溢れているように感じるゲームだった。
QoL・快適さが高い
QoLはかなり高い。ファストトラベルは基本的にいつでも出来るし、攻略で重要な武器や猫(先ほど書いたようにこれは猫ゲームなので猫をただの収集要素と考えるのは勿体ない)の居場所をゲーム内で示してくれるレーダー的なアイテムがあるので、わざわざスマホなどを使って広告まみれの攻略サイトを見ずとも攻略ができる。
ただこのレーダーには惜しいところが一つだけある。生命の欠片(ゼルダの伝説でいうハートの欠片)の場所は示してくれないのだ。そのため、これを自力ですべて探し出し体力を最大化するには各時代をくまなく探す必要がある。とはいえ、マップに表示される欠片が確定で入手できる祠だけでも回れば割と体力は上げられるのでストーリー攻略で困るほどではない。
結局のところ、ストーリー攻略だけを目的とするなら快適さを感じ続けられるという話だ。
変化の少ないダンジョンと変わらない敵たち
時代が違ってもダンジョンの内部構造がほぼ変わらない。これは、探索を楽しみにするプレイヤーからすると期待外れだと思う。しかも、前述したように生命の欠片のように特有のものが見つかるのならまだしも、重複すると魔石の欠片1個にしかならない魔石本体、その欠片やお金だと肩透かしにも程がある。なので、レーダーの示すところだけ回って重要なアイテムだけ取れればそれでOKとプレイヤーが割り切れるかが重要だと思う。ダンジョンのボスも重要なところにしかいないし。
そして敵の変わらなさでいうと敵は時代が変わっても全然変わらない。地域が変われば敵の種類は変わるが結局それぐらいなのである。ポジティブに言えば、敵の攻撃パターンを覚えやすくパリィのしやすさ・チェインの繋げやすさに貢献しているので一概に悪いこととも言えないが、やはり探索だったり各時代の差異に期待しているプレイヤーからすると残念な気持ちになると思う。
戦闘だと武器は剣、魔法はコピーがド安定すぎる
エリオットの武器7種は序盤ぐらい、フェイの魔法5種は中盤ぐらいで全部揃うのだが、私は全部揃ってもギミックで必要な場合以外は、武器は補助の槍とメインの剣で魔法はコピーばかり使っていた。というのもこの剣とコピーがド安定で強すぎたからだ。
簡単に説明すると、まず武器の槍は攻撃後にもう片方の武器の攻撃力向上とチャージ時間短縮の効果があり、これを剣に繋げると超高速で自分の周りに衝撃波を出しながら剣の近距離攻撃と同時に斬撃を飛ばし遠距離攻撃を繰り出した後に盾の耐久力を回復して防御方向を全方向化するバフを得られるというとんでもない攻防一体が実現できる。そして、魔法のコピーはエリオットをもう一人複製するものなので火力も攻撃範囲も単純に二倍になる。正直このコンボを使うとボスを瞬殺あるいは慎重に盾を使ってノーダメ攻略さえできてしまうので、他の武器や魔法にわざわざ切り替えて使う必要がなかった。
そのため、せっかく武器や魔法がいくつもあるのだから、敵によって武器を使い分けて弱点(システムとしてこれがあるのか知らないが)を突いたりしていろんな武器を使いこなして戦いたいという期待を持つとそれは残念ながら裏切られると思う。私の体験でいうと例えばブーメランはちゃんと当てられれば強いがその"ちゃんと"当てるというのが難しく魔石を付けたところでその扱いにくさが緩和されるわけでもないので結局使いづらいままだった。
早期購入特典はただのおまけ
早期購入特典のアクセサリーと魔石は無料で付いてくるだけあって実質的にただのおまけだった。アクセサリーは他に優先してつけたいものがいくらでもあるし、魔石にいたっては最低ランクのものなので私の場合は体験版から引き継いだデータで入手してすぐに魔石の欠片1個に変わってしまった。
要するに、もし早期購入特典がなくても気にしなくていいということだ。攻略には全く寄与しないただのおまけだから。
まとめ:綺麗に作られた一本のアクションJRPGを遊びたいならオススメそして何より体験版をプレイしましょう
まとめると、スクエニという企業が作っただけあって本当によくできた作品でとても面白かった。そのため、何か一本アクション"JRPG"が遊びたい人に私はオススメしたい。
ただしそれでも、アクションの感触であったり世界観であったりは実際にプレイしてもらって体験してもらったほうが話が早いので、少しでも気になったなら体験版をプレイしてみてほしい。それで面白そうだなと思って、私が上記で書いたようなこのゲームに期待しない方がいいところを気にしなくて済むなら、買って続きをプレイすれば間違いなく楽しめると思う。私は、体験版をプレイしてこれだけは期待できると思った爽快感のあるアクションと希望溢れるストーリーがあったから大満足だったので。
そういうわけで、『冒険家エリオットの千年物語』はとても面白いゲームだった。