人生が整うマウンティング大全(発売日: 2024-02-14)をタイトルが気になり、軽い気持ちで購入して読んでみた。

本書のテーマは「マウンティング欲求」、つまり他者に対する自己の優位性を示したいという欲求についてである。具体的には、承認欲求に基づく自慢や競争心の表れを指す。

本書では、日常的に見られる「著名人と知り合いマウント」といったあるあるなマウンティングや、「自民党呼び出しマウント」など極端に詳細化された事例を紹介しながら、マウンティング欲求が人間関係やビジネスに与える影響を考察している。その中で、印象に残ったのは「ゴールドマンマウント」という例だ。超有名企業での輝かしい経歴を持つ人が過去の職歴を自慢する際に「〜時代」と表現するパターンを指すもので、たとえば「ゴールドマン時代」「マッキンゼー時代」といった具合である。

この本を読み終えた直後に別の本を手に取ったところ、著者紹介に「デロイト時代」と書かれており、思わず笑ってしまった。こういった例が実際に目に入ると、本書の指摘が妙にリアルに感じられる。

さらに興味深かったのは、マウンティング欲求がサービスの流行にどう関与しているかという分析だ。たとえば、Facebookがその欲求を満たす場として機能し、多くの人を惹きつけたことが具体例として挙げられている。このように、社会的動物としての単なる行動特性の指摘に留まらず、それをビジネスや社会の動きに結びつけて解説する視点が新鮮だった。

全体として、軽快な語り口と豊富な例が魅力の一冊だ。中古市場で手軽に入手できるので、気になった方はぜひ読んでみるとよい。おすすめの一冊である。

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なお、著者のマウンティングポリス氏は以前Twitterアカウント(@mountingpolice)を運用していたようだが、現在は活動していないようである。世の中をマウンティングの観点で切り取る投稿は、SNS時代ならではの視点としてもっと見たかった。